2001年8月 上級滑空機 =工学=


問1 翼に「上反角」をつける目的で正しいものはどれか。
(1) 主翼に発生する抗力を小さくする。
(2) 横滑りに対する復元力を持たせる。
(3) 翼端失速を防止する。
(4) 旋回性能を良くする。

問2 「ベルヌーイの定理」について正しいものはどれか。
(1) 静圧と動圧の差は一定である。
(2) 静圧と動圧の積は一定である。
(3) 静圧と動圧の比は一定である。
(4) 静圧と動圧の和は一定である。

問3 静圧孔が詰まっても誤指示をしない計器ははどれか。
(1) 昇降計
(2) 対気速度計
(3) 旋回計
(4) 気圧高度計

問4 「ディスクブレーキ」について誤りはどれか。
(1) 冷却効果が良い。
(2) 点検が容易である。
(3) 運動エネルギーの吸収効率がよい。
(4) 車輪の回転速度に応じてブレーキ圧を調整する。

問5 翼の「縦横比(アスペクト比)」を大きくしたときの性能の変化について誤りはどれか。
(1) 上昇性能が向上する。
(2) 航続性能が向上する。
(3) 離陸距離が短くなる。
(4) 滑空比が小さくなる。

問6 「気圧高度計の規正」について正しいものはどれか。
(1) QNHの値に規正すると真高度を指示する。
(2) QFEの値に規正すると着陸したとき"0"feetを指示する。
(3) QNEの値に規正すると着陸した滑走路の標高を指示する。
(4) 上記(1)〜(3)は全て間違いである。

問7 滑空中に発生する抗力を2つに分類した場合正しいものはどれか。
(1) 圧力抗力と摩擦抗力
(2) 有害抗力と誘導抗力
(3) 摩擦抗力と誘導抗力
(4) 形状抗力と圧力抗力

問8 主翼に着氷した場合に起こり得る現象について誤りはどれか。
(1) 抗力の増大
(2) バフェット
(3) 揚力の低下
(4) 失速速度の低下

問9 左に釣り合い旋回をするときに使用する左ラダーの目的として正しいものはどれか。
(1) 右側のエルロンが下がるために増加する抗力により発生する偏揺れを抑える。
(2) 右側のエルロンが上がるために減少する抗力により発生する偏揺れを抑える。
(3) 左側のエルロンが上がるために増加する抗力により発生する偏揺れを抑える。
(4) 左側のエルロンが下がるために減少する抗力により発生する偏揺れを抑える。

問10 「旋回半径」について正しいものはどれか。
(1) 速度が大きいほど旋回半径は大きい。
(2) バンク角が大きいほど旋回半径は大きい。
(3) 機体重量が大きいほど旋回半径は大きい。
(4) 翼面積が大きいほど旋回半径は大きい。

問11 翼型(翼断面)の「キャンバ」について正しいものはどれか。
(1) 翼の厚みが一番大きいところをいう。
(2) 翼の厚みの中心線の反りの大きさをいう。
(3) 前縁と後縁を結んだ直線をいう。
(4) 翼の長さと厚みの割合をいう。

問12 滑空機に装備しなければならない計器について正しいものはどれか。
(1)対気速度計と昇降計
(2)対気速度計と高度計
(3)対気速度計と磁気コンパス
(4)高度計と昇降計

問13 滑空機の係留について誤りはどれか。
(1)操縦系統をロックする。
(2)野外での長期間の場合タイヤ圧を低めにする。
(3)風上側の翼を下げる。
(4)水平係留は風向が変化する場合有効である。

問14 各装置の色識別で正しいものはどれか。
(1) 曳航離脱装置…赤
(2) 抗力増大装置…青
(3) エレベータートリム…黄
(4) キャノピー開閉装置…緑

問15 「最良滑空速度」の無風時と向かい風時の比較で正しいものはどれか。
(1) 向かい風時は無風時より小さい。
(2) 向かい風時は無風時より大きい。
(3) 向かい風時も無風時も同じ値である。
(4) 型式により異なる。

問16 「磁気コンパスに生じる誤差」で誤りはどれか。
(1) 自差
(2) 山岳誤差
(3) 北旋誤差
(4) 加速度誤差

問17 揚力を示す公式として正しいものはどれか。(L:揚力、ρ:空気密度、S:翼面積、V:速度、CL:揚力係数)
(1)L= 1/2・CL・ρ・V^2・S
(2)L= 2・CL・ρ・V^2・S
(3)L= 1/2・CL / ρ・V^2・S
(4)L= 2・CL / ρ・V^2・S

問18 重量500kg、翼面積20m^2の滑空機が速度90km/h、バンク角30度で釣り合い旋回を行った場合の荷重倍数はどれか。
(1)1.0
(2)1.15
(3)1.41
(4)2.0

問19 重量500kg、翼面積20m^2の滑空機が速度80km/h、沈下率1m/secで滑空した場合の滑空比はどれか。
(1) 0.045
(2) 0.45
(3) 13
(4) 22

問20 尾輪式滑空機において、主輪−尾輪間隔12mで、基準線を主輪後方2m(=尾輪前方10m)にとって、主輪における重量が150kg、尾輪における重量が50kgであった場合、その重心点はどれか。
(1) 基準線前方 4cm
(2) 基準線後方 35cm
(3) 基準線前方 50cm
(4) 基準線後方 100cm


=解答=

1. 答(2): 機体が滑った際、翼の横方向によどみ点ができ、進行方向側の翼に上向き揚力発生(1)
2. 答(4)
3. 答(3)
4. 答(4)?: (4)はアンチロックブレーキの記述???
5. 答(4): アスペクト比が大きくなると滑空比は増大する。
6. 答(2)または(4)???
(2):QFEセッティングはゼロセッティング法と呼ばれ、地上で高度を0として飛行する。従って、同じ飛行場に降りる限りは"0 feet"を指す。
(4):但し、上で述べたように、標高の異なる別の飛行場に降りれば"0"を指さない。
尚、(1)は気圧温度の違いから、QNHに限らず気圧高度計は一般に真高度を示さない。(4)のQNEも同様にその日の気象条件により値が異なるので、絶対値である標高は示さない(2)
7. 答(2)=下記解説参照=
8. 答(4): 着氷により翼断面が変化し揚力の低下や気流の剥離が容易になり失速しやすく(=より高速で失速)なる。従って、失速速度が"増大"する。(3)
9. 答(1): アドバース・ヨーの記述
10. 答(1): 旋回半径:Rの式は、R=V^2 / g・tanθ、従ってVが大きいほどRは大きくなる。(V:機速、g:重力加速度、θ:バンク角)
11. 答(2): (1):最大翼厚、(3):翼弦線、(4)翼厚
12. 答(2)
13. 答(2)?
14. 答(2): コックピットの中を思い出そう!(1):黄、(3):緑、(4):白または赤
15. 答(3): 対気速度だから。
16. 答(2)
17. 答(1)
18. 答(2): g=1/cosθ、 ∴g=1/(√3/2) =1.15
19. 答(4): 80km/h=22m/s、滑空比は前進速度:沈下速度だから、22:1.
20. 答(4)
基準線右を+、左を−とする。
 主輪側モーメント=150kg×-2m=-300kg・m
 尾輪側モーメント=50kg×10m=500kg・m
  モーメントの総和:-300+500=200kg・m
 重量の総和:150kg+50kg=200kg
重心位置は、モーメント総和/重量総和だから、
 CG=200kg・m/200kg=+1m
符号が+だから、重心位置は基準線の右(後方)1m

参考文献
1) 基礎航空工学、航空学習会編、鳳文書林出版販売、ISBN4-89279-020-6 C3053
2) 基礎航法教室、時枝勲著、鳳文書林出版販売、ISBN4-89279-201-2 C3053
3) 新学科試験スタディガイド、(社)日本航空機操縦士協会、ISBN4-931160-07-7 C3058

解説 問7について

 抗力を2分する場合、誘導抵抗(induce drag)+形状抵抗(profile drag)(=摩擦抵抗+圧力抵抗)に分類した文献が多いが、別の分類法として、誘導抵抗(induce drag)+有害抵抗(parasite drag)と分類した書籍(4-6)も多く存在する。後者は、揚力の発生上必然的に発生する抵抗(誘導抵抗)と、摩擦などに起因する飛行に直接関係しない抵抗(有害抵抗)として抗力を分類したものである。

4) 飛行の秘術のはなし、加藤寛一郎、講談社、ISBN4-06-256400-9 C0195
5) 航空力学入門、加藤寛一郎、大屋昭男、柄沢研治、東京大学出版会  
6) 航空力学の基礎(第2版)、牧野光雄、産業図書、ISBN4-7828-4070-5 C3053


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